"精神科医がうつ病になった"感想続き

さらにこの本の感想を続けていきます。(というか、どちらかというと、この本を読みながら、自分が体験したことを鑑みて精神科に関して私が感じていることを書くような感じかもしれません。)(また、ネタばれ的なことが書かれているかもしれません。お気をつけ下さい。)

精神科医への批判めいたことを書いてしまいましたが、でも、この方の人生が決して悪いものではないな、と思われるのが、"とにかく、たくさんの仲間のお陰で、僕はとりあえず生き延びることができた"と語ってらっしゃることです。そういう気持ちを持てることは、本当に素晴らしいことだと思います。(こと、私に関していいますと、友人が非常に少ないため、本当に数少ないその友人と、治療院の先生のおかげでなんとか生きている、という状態です。悲しいことにそれ以外については四面楚歌のような状態です。)

この本の中に芸術療法、というのがありました。初めはよくわからなかったのですが、そういえば、精神科入院中、"作業療法"というのがあったな〜、と思い、あ〜、その中に芸術療法も入っているらしい、というのがなんとなくわかりました。
私が入院していた病院では、ほかにも、カラオケ大会やら、季節の行事なども行っていました。どちらかというと、作業療法も、こうしたイベントも、患者さんのストレス解消のため、という印象がありました。なんていうんでしょう・・・内輪だけでもりあがっている感じ。特にイベントなどは、看護婦さんたちや、一部の先生などが、盛り上げ役になって一時的に内輪だけで盛り上がる・・・そういう印象があります。おそらく精神科的観点からすると、何かしら意味があるのかもしれませんが、私などには、意味が見えてきませんでした。一時的にそういう楽しみのようなものがある一方、普段の患者さんの入院生活というのは、なんとなく陰鬱です。ものごと、晴れとケがあるものだとは思いますが、一時的な内輪盛り上がりのイベントをなんらかのお金をかけてやるのなら、普段の入院生活をもう少し快適に送らせてあげる方が意味があるような気がします。
作業療法も、なんとなく意味が見えてこない感じがするのです。作業療法士さんって、すごく一生懸命だと思うんですよ。だけど、そのワリに、どの程度、その結果が患者さんに現れているのか、さっぱりわからないし、私自身も結局、あれは、陰鬱な入院生活のストレスを解消する時間だっただけ、としか思えないのです。(そうではないのかもしれませんが、もしそうだとしたら、入院生活のストレスのもとになるさまざまな不愉快を軽減することの方がなんだか意味があるような気がします。)(実際、作業療法の場には--少なくとも私が入院してた病院では--先生は全然来ませんでしたから、患者さんの先生による観察、というのはなかったと思います。それとも作業療法士さんから、何らかの先生への報告があったのでしょうか??)で、作業療法でやったことが、現在の生活でなんらかの形で生かされている、ということが見当たらないのです。

あと、この本の中に"治療とは患者さんを愛すること"というのがあるのですが、この言葉も、自分の中ではすごく空虚です。先生方は、世間の人々に比べれば言葉とかも確かに優しいです。でも、それは、なんだか"愛する"というのとは違っている感じがします。(でも、普通の人より患者さんを"理解"はしていると思います。やはり専門に勉強されてますし、普段から患者さんに接していらっしゃるし。でも、それは、なんだか"愛"とは違っているような感じがするのです。世間の人のように冷たく接っするのはやめよう、少なくとも自分は、というその程度にとどまっている感じがします。中には、あまり優しくない先生もいらっしゃるみたいですし--聞いた話でしかありませんが。でも、特にうつ病の方などには、とにかく親身になって話を聞いてあげるだけでも、一つの救いなのかもしれませんね。私はうつ病患者さんのことはあまり詳しくはわからないのですが。)

それから・・・この本の中の、著者と"陽さん"の関係・・・。どうしてかわからないのですが、この本の最後の言葉、"この本を今は亡き僕の親友と、その恋人であった陽さんにささげます"、を読んだとき、涙が出てしまったんですよね・・・。陽さんへの思いって、著者にとってどんなものだったのだろう??陽さんへの手紙というのが長く記されているのですが、どこかわからないんですよ。なんだかその長い手紙よりも、"この本を陽さんに捧げる"というその言葉の方が短いのに、より真実を語っているような気がして・・・。(ヒントを見つけたくて、泉さんのHPに行こうとしたら、残念ながら閉鎖されていて・・・。)
自分が彼の立場だったら、親友から"彼女を頼む"ってたくされちゃったら、彼女のこと好きになってしまうような気がして・・・。あと心配なのが、彼女が年下で結構危なっかしい男性を好きになっちゃったこと。傷ついてる人にとって、あやうそうな異性とつきあうのって、すごくハードだと思うんだけどな・・・。その後を知りたいな・・・。
(あと、もう1つの疑問が、著者と著者本人の彼女との関係なのですが・・・。この本も、"彼女に贈る"とは書かれていないし・・・。すごく気になります。ご結婚されたでしょうか??)

最後に、この泉さんが、この本を世に出してくださったこと、そして、この本に出会わせてもらえた幸運、そして、この本が図書館で貸し出し可の状態であった幸運に感謝したいと思います。Thank them so much !!